正しい姿勢のために「筋肉を無視しよう!」

「四頭筋/殿筋を使ってはいけない」の真意でも書いたのですが、
正しい姿勢を作る時 気をつけてほしいのは筋肉の感覚ではなく、骨格の位置です!

100人の人がいるとします。その100人に、正しい骨格の位置で立ってもらったとしましょう。

その時、筋肉の感じられ方は千差万別です。

人によって骨格の形は少しずつ違い、それに伴い「日常的に収縮が弱くなってしまう筋肉」/「日常的に収縮が強くなってしまう筋肉」は異なります。

そのため日常の位置から変化させたあるポジションを取った時、「強く使われている」と感じる筋肉も違ってきます。

運動経験があまりない方、またインストラクターや養成コース生でも初学者は、運動時つい「筋肉」に着目しがちです。

骨より筋肉の方が分かりやすいからです。骨がどうなっているかは分からなくても、筋肉は収縮しているのが分かるためです。

よく「この動きでこの筋肉をすごく使うんですが、それで良いんですか?」など質問を受けるのですが、それは
「わたしの筋肉が異常な感覚のアラートを発しているのですが、大丈夫なんでしょうか?」という不安/心配も含まれているのでしょう。

完全・完璧・左右対称な骨格を持っている人はいません。
みんなそれぞれ少しずつ、色んな形で歪んでいます。

歪みが大きいほど「日常的に収縮が弱くなってしまう筋肉」/「日常的に収縮が強くなってしまう筋肉」の偏りも大きくなるので、「この動きでこの筋肉をすごく使うんですが、それで良いんですか?」と質問される人は偏りが進行している可能性が高いです。

そして、その強弱が偏った位置にいることがその人にとっての当たり前、主観的/感覚的ノーマルとなってしまっています。

ノーマル normal とは、「正常」という意味です。
正常性は各個人の主観/感覚ではなく、物理的絶対性を基準にしたいのです。

物理的なノーマル/正常位置(関節に負荷が少ないポジション)に骨格を近づけた時、普段そこからかけ離れている場所にいる人ほど、筋肉達は「これは普段の位置と違うよ!俺的に正常(ノーマル)じゃない!異常!攣る!」とアラートを発するでしょう。

筋肉達がどれだけ「普段と違うよ!おかしいんじゃないの?!」と言ったとしても、骨格の位置がばっちり正しければ怪我はしません。
(病変や老化などある場合は例外です。)

「姿勢悪いのが悩みなんです」とおっしゃる方は、姿勢が「悪い」のですが、筋肉はいつも異常性を感じているわけではありません。

普段のだらしない姿勢では何も感じず、筋肉達は平和の中にいるでしょう。

むしろ正しい姿勢にした時、姿勢は「正しい」のに、筋肉達に「異常!攣る!」という異変が起こります。

本来「悪い姿勢の方が異常/危険」で「正しい姿勢の方が正常/安全」なのに、歪み/偏りに慣れきった筋肉達は
「悪い姿勢が俺達的には普通だよ~危険じゃないよ、ここにいよう」「正しい姿勢になるとすごく疲れるから嫌!これ安全なの?!」などと言い出すのです。

脳は筋肉達の感覚に従いたがります。
脳もまた、変化を嫌うのです。マンネリと惰性を求め、いかにさぼるかを常に模索しています。

「姿勢を良くしたい」と思いながらなかなかそうなれないのは、脳や筋肉達のぐうたらな意見に負けてしまうからですね。

「姿勢を良くしたい」と言うだけでは駄目、誰かにお金を払っても駄目です。
インストラクターは他人の脳や筋肉をコントロールできません。
脳や筋肉達をあなた自身の支配下に置かなければ、正しい姿勢は獲得できないのです。

「そんなこと言われても、正しい姿勢が分からない」と思った方。
ではなぜ「自分は姿勢が悪い」「あの人は姿勢が良い」と言えるのでしょうか?

私が答えましょう。答えは「見た目」です!

脳は結構 賢いところもあるので、見ただけで分かってしまうのです。
解剖学の知識うんぬんがなくても良い/悪いは判断できます。

写真映りでショックを受けたことがある方、自分の想像/感覚と現実がかけ離れていることに驚きますよね。
姿は「見た目」が大事なので、そこを頼りに修正していきます。

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この方の姿勢が良いの、分かりますか?
セッションではもっと丁寧に指導していきますが、まずは見たままを真似してみましょう!

↓背中のイメージ

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↓こちらはわたしです

写真を見ながら姿勢を真似したら、今度は鏡を見てみましょう。
形をどんどん寄せていきましょう。

そうした時に、「筋肉の感覚は通常とそれほど変わらない。いつもこんな感じです」という方は良いと思います!

筋肉達が「いつもと違う~!異常~!こんなのやめたい~」と騒ぎ出した方は、それを無視して、そのままでいてください。

筋肉がどれほど大騒ぎしても、そこにいること。

筋肉の感覚は忘れるようにしてください。

「筋肉が収縮している箇所を記憶しておく」より、「感覚を忘れていく」方が理想的です。

もちろん、本当はいつもより頑張っている筋肉があることでしょうが、そこを意識するより無視してほしいのです。

「筋肉は頑張って鍛える」という身体の記憶が根付いてしまうと、そこにいることが当たり前ではなくなってしまいます。

何かのエクササイズを時々やるだけ。後はいつも通り。それでは「姿勢が悪い」という悩みから抜け出せません。

姿勢というのはベースの形なので、常にそこにいてほしいのです。

そして鏡で、お顔の表情と全体的な印象も見てみてください。

もし頑張っている顔をしていたら、表情をなくしてみてください。眉間に皺を寄せたり等の必死そうな感情表現を消していきます。
体が力(りき)んでいるように見えたら、体の形はそのまま、腕や脚の表面の力だけをそっと緩めます。

これは「無表情のまま姿勢を正す」という演技です。

役者さんは、内面でどれだけ大変な思いをしていても撮影時に素を見せたりはしないでしょう。
怒っている顔は怒りの仮面、平気な顔も素顔ではなく平常心の仮面を被っているのです。

表情に出さない、無になる。筋肉の感覚や感情を無視する。

これが良い姿勢を定着させるコツです。

俳優やモデル、ダンサーは姿勢が良いです。
それは素を出さない、演技をする仕事だからです。

逆に、演技をしないと姿勢は良くならないとも言えるかもしれません。

それは思いも寄らない話だと思います。

芸能人でもないのに、まさか演技を習得しなければならないとは!

しかし「なぜ姿勢が良くならないのか?」という問いに答えることができます。「素」だからです。
二足歩行の人間は重力にひっぱられ「まっすぐに立っていられない/崩れる」のが「通常の状態」です。

では演技をしましょう!

演劇学校など通わなくても大丈夫、これまで人生を生きてきた過程で素養は既に身についています。
仕事などで人前に立つ時や、知らない人と話す時など、人は自然に演技をしているのものです。
その応用です。

「姿勢が良く、平常心でいる人」の演技を常にしていれば、自然とそのための筋力がつきます。

俳優やモデル、ダンサーで何らかのトレーニングをしていない人はいないでしょう。
演技は筋力が必要なのです。

筋力がないから素になってしまい、結果として姿勢が悪くなるとして、
そこで直接的に「姿勢を良くしよう」と考えるよりも「姿勢が良く、平常心でいる人」の振りをした方が脳が騙されやすいです。

ぐうたらな脳や筋肉を自分のコントロール下に置く、脳を制すための攻略法の一つです。

プロである俳優やモデル、ダンサーは平常心はもちろん、さらに筋力が必要となる笑いや泣き、難しい動きやポーズも要求されるでしょうが、「姿勢良く無表情なだけ」であれば挑戦できそうではないでしょうか?

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ここまでの笑顔は必要ありません!

とは言え「平常心/無表情もレベルが高い」ということは重々分かっています。
筋肉達が大騒ぎしているのですから。

筋肉の「異常~!」というアラートは無視し、無表情でいてほしいのですが、それは「筋肉をケアしないで」という意味ではありません。

アラートを発する筋肉は、これまであまり使われず、放っておくともっと使いものにならなくなっていく部位でしょう。
そういう筋肉を蘇らせるためには、やはり使うしかありません。
収縮運動をすることで代謝が促進され、老廃物を排泄し新しい栄養を取り込み、瑞々しい細胞になっていきます。
これまで放っておいた分、使って疲れたら優しく摩ってあげるなどしてくださいね。

話を戻します。
努力を要する状態で、平常心/無表情を続けるのは簡単ではありません。
人間にとって素でいられる、感じたことをそのまま表現しても良い環境はとても楽です。
職場より家の方が楽ですよね。

ですが素に戻った瞬間、繰り返しになりますが姿勢は崩れます。
インストラクターとしては見たくない瞬間です。

私のセッションでは何度も「一定の呼吸、乱れないアナログの波形を保ち続けて」と伝えています。

と言いつつ、一定の呼吸を保てることはなかなかありません。
人によってはエクササイズ中に険しい顔をしたり、終わった途端に溜め息をつきます。

できれば「眉間に皺寄せ禁止、溜め息禁止」としたいところです。

俳優やモデルだったら、カメラが回っている最中 素顔に戻ってしまうような溜め息は絶対につきませんよね。
私がセッション中にも関わらず大きな溜め息をついて腹圧を抜き、一気に姿勢を崩せばきっと驚かれることでしょう。

しかしながらセッションは私のトレーニングではなく、クライアント様がトレーニングをする時間です。
溜め息をつかずに頑張り続ける必要があるのは私ではありません。

一つのエクササイズが終わってもセッションは終わっていないので、平常心/無表情の演技を続けてほしいのです。
私に引き上げをさせていても、あなたの身体は変わらないでしょう。

いつもと違う動きでも淡々とそこに身体を慣らす努力をしなければ、筋肉からの異常事態アラートは鳴り止みません。
異常と認識してしまう限り、そこから表情を崩して逃れようとしたり、不要なまでに力(りき)んだり、早く素に戻ろうとする大きなアクション(溜め息や脱力)をしてしまいます。
正しいポジションを身体が平常時と別物/異常と捉えている限り、いつまでも定着しません。

溜め息は、セッション後 家に帰って数時間経ち、さすがに集中力が切れた時にそっと吐くだけにしましょう。
そしてまたすぐに、演技を続けましょう。
良い姿勢と正しい動きはそうやって身につけていくものです。

今回の記事を読んで、その意味を考え直してみてください!

つづく。 感情を垂れ流していると身体はどうなるか 〜心技体の鍛錬〜


ポールスター・ピラティス公認メンターの奈津です。

バレエのためのピラティスを解剖学から教える、完全パーソナルの個人スタジオ 横浜 metamorphoseを主宰しています。

 

運動の仕組みが分かればできる♪ 変われる! 1対1で座学からきちんと知ることができます。

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日常生活からの姿勢改善、パフォーマンスの向上、しなやかで美しいスタイルを目指します。どうぞお気軽にセッションにお越しくださいませ♪

横浜 ピラティス メタモルフォーゼ

 

ピラティス専門のブログ記事が好評をいただいており大変うれしく思います。
このブログでは日常を綴っていますが、↑こちらでピラティスの技術的なことがらに関する記事を書いています。

ピラティスにご興味のある方はぜひお読みください。

ポールスター・ピラティスは医療の専門家が解剖学に基づいてアレンジしたピラティスです。


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